銀の小箱

児童文学・童話作家 かんのゆうこのブログ

ミナ ペルホネン展覧会 「ミナカケル」(1)

 

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東京・青山スパイラルビルで開催中の、ミナ ペルホネン展覧会「ミナカケル」に行って来た。mina perhonen(ミナ ペルホネン)の20周年を記念して行われている大規模な展覧会だ。

 

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スパイラルビルの入り口を入り、すぐ右側にある短い階段を上ると、左右に展示会場が分かれている。私は右側の会場から見ることにして、会場の中へ入っていった。まず最初に、右側の展示会場には「テキスタイルの壁」があった。これまでミナ ペルホネンが発表してきたテキスタイルのアーカイブを使って作られた壁だ。足元から天井まで伸びるカラフルなテキスタイルはとても楽しく活気に満ち、まるで美大の文化祭のようだった。

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テキスタイルは自由に触れてもOKだったので、離れた場所から全体を見た後、生地にひとつひとつ触れていった。つるんとした生地、シャリ感のあるもの、刺繍のオウトツ、サラリとした感触のもの。カラフルで創造性に溢れたテキスタイルのどれに触っても心が躍る。

 

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テキスタイルの壁には、ところどころに鳥の巣箱のオブジェやインスタレーションが設置されていて、巣箱に顔を近付けてみると、中から「……サワサワ…コプコプ……カシャ……カシャン……シャンシャン……」と、何とも言えない、不思議で穏やかな音が聞こえてきた。

 

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 いったい何の音だろう、風の音・・?水音のようにも聞こえるけれど・・・そう思いながらすぐ近くに設置されているインスタレーションの中をのぞき込むと、ゆっくりとミシンをかけているミナ ペルホネンの作業風景の映像が流れていた。その映像は、セピア色の昔の写真のように不鮮明で、それでいてとても温かかった。これはミシンの音だったんだ・・・あまりに平和で静かな音だったので、ミシンの音とは気が付かなかった。縫う速度をゆっくりと調整しながらかけていくミシンの音は、まるで、そよぐ風や流れる水音のように優しかった。

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テキスタイルの壁の部屋を通り抜けると、次はミナ ペルホネンの20年の歴史を振り返るミナペルホネンヒストリーの空間が目の前に広がった。テキスタイルやバッグ、洋服などの作品アーカイブと共に、それを作った時の皆川さんの想いや作品の名前の由来などが、大きなタグに綴られている。皆川さんの内なる世界に生まれた物語、日々の生活の中で感じた喜び、感動、切なさ、温かさ・・・それらのものが湧き出るような作品となって、優しく、力強く、胸の奥に伝わってくる。

 

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どの作品も、豊かな創造性と遊び心、優しさや謎に満ちていて、なんて幸せな気持ちにしてくれる作品たちなんだろう、とうれしくなり、そのすばらしさにため息がこぼれた。けれどその幸せは、選ばれた人たちのみが享受できるような限定的なものではなく、形や在り方は違っても、誰もがそれぞれの世界の中で、その人らしく感じられる幸せのような懐深いものだった。ミナ ペルホネンの作品に触れて、創造性を刺激されないクリエイターはおそらくひとりもいないだろう。

壁に飾られているのは、作品やテキスタイルだけではなく、皆川さんのスケッチや絵、絵の具、作品として出来上がる前のデッサンや資料、創立当初の仲間との写真など、ミナ ペルホネンのよそ行きでないありのままの姿が、まるでそれ自体がひとつのアートのように、調和を持って展示されていた。

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人が長年愛用して、生地がすこし破れた箇所があるスツール

『経年変化が新しい喜びに変われたらという思いから生まれた。木や金属や土や漆のように、変わっていくことを布でも喜びたい。』

 

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『始まりは 僅かなものしかなかった。友人と夢と理念だけが支えだった。』

 

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(「ミナカケル」(2)へ続く)

kanno-yuko.hatenablog.jp

 

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