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銀の小箱

児童文学・童話作家 かんのゆうこのブログ

ミナ ペルホネン展覧会「ミナカケル」(2)

 

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 『19歳の冬、初めて北極圏の街ロバニエミを訪れた。そこで出会ったこのコートは僕の未来の種だったのだと思える。」

 

右サイドの展示を全て見終えた私は、次に左サイドの展示会場に足を進めた。ファッションショーの舞台のように細長い会場には、マネキンに着せられたミナペルホネンの代表的な洋服が並んでいた。

 

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「作品」という言葉が本当にふさわしい。一つ一つが美術作品のような美しさだった。それなのに、日常とかけ離れたようなフォルムやデザインはひとつもない。芸術と夢と日常とが丁寧に溶け合っている。

 

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創造性に溢れ、美しく、物語を感じる洋服たち。鮮やかな刺繍やプリント、カラフルな色合いなど、ひとつひとつの作品は華やかなものが多いけれど、同時にとても可憐で透明感がある。それはきっと、花や木や植物や、光や風や夜空の星ーーそんな自然界にあるものたちを大切に敬いながらモチーフにしているからなのだろう。

 

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洋服の展示会場を通り過ぎると、突然視界が開けて広い吹き抜けのホールに出た。高い天井を見上げると、そこにはミナペルホネンの実物の作品をそのまま使った巨大モビールが展示されていた。

 

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よくよく眺めてみると、洋服、靴、バッグ、アンブレラ、うさぎのクッション、ストール、椅子・・・さまざまなコレクションが使われているのが見える。モビールは、かすかな空調の風とともに、右に左に、上に下に、くるりと回転したりゆらゆら揺らめいたりしながら、ゆっくりと時を刻んでいた。天井窓からは柔らかな光が差し込み、揺れ動く作品たちを淡く、優しく照らしていく。

 

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吹き抜けのホールを取り巻くように二階まで続いているスロープを、私はゆっくりと登っていった。スロープの一番上の場所から、いつまでも飽きることなく、モビールの揺らめく光景を眺めていた。眺めながら、この青い星の上で生きる私たちの存在は、まるでこのモビールのようだと思った。

 

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一人一人、形も大きさも、生き方も違った存在たちが、いくつかの小さな接点、あるいは大きなつながりを持ちながら、計り知れない絶妙なバランスと調和の中で、揺らめきながら共存している。少し離れた場所からその光景を眺めれば、私たちの世界はこんなにも美しいのかもしれない。

 

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『imagine』

「どんな物語が描けるかは、その時どこまで自分が作った物語の中に入っていけるかによる気がする。見たことのない植物やいきものについて、それらの性格や手触り、匂いやその周りの湿度、そんなことを想像して描くと、言葉では語れない物語がそこに現れる。詩や物語が書けることはすばらしいと思うけれど、言葉ではなくて、絵でも物語を描くことはできる。」

 

ミナ ペルホネン展覧会 『ミナカケル』
会期:2015 年5月20日(水)~ 6月7日(日)
時間:11:00 ~ 20:00
場所:スパイラルガーデン  
東京都港区南青山5-6-23

 

kanno-yuko.hatenablog.jp

 

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